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VOICESfrom SEIKA

  • 教員

    人文学部

    人文学科文学専攻

    佐々木 中

    私の知人にある大学の経済学部を優秀な成績で卒業した人がいます。誰もが羨む日本でもトップクラスの証券会社に就職しました。かれは心優しい音楽好きの男性でしたが、それゆえにストレスに耐えきれず、うつになり、その会社を辞めてしまいました。いまは親族の持っていたアパートの管理人をしながら、音楽ライターをしています。楽しそうです。

    私の知人に私と同じ大学の医学部を優秀な成績で卒業した人がいます。明るい人です。順風満帆な人生かと思われましたが、とつぜん精神的な理由で「患者の体にさわれなく」なってしまいました。いまは田舎に帰って家業の豆菓子製造業を手伝っています。三男坊がとつぜん帰ってきたわけで、はじめは肩身が狭い思いをしたそうですが、持ち前の人当たりの良さで売り上げを伸ばしているようです。

    そんなものです。将来のことはわかりません。いつ何が起こるかわかりません。しかし、まさに「何かが起こっていままで勉強したことが生かせなくなった」ときに、人文学科で学んだことは役に立ってくるのです。大学は普通に暮らしていては想像ができないほどいろんな人がいて、いろんな生き方をしている人々の集まりです。そこにいてきちんと勉強していると自然に視野は広がります。挫折を余儀なくされたときに、狭い視野しか持っていないと、完全に行き詰まるしかありません。しかし、視野を広くし、人生は多様であってよいということを学んでいれば、なかなか「折れない」で生きていられるのではないでしょうか。
     
  • 教員

    人文学部

    人文学科社会専攻

    細川 弘明

    人文学科では、知識を学ぶとともに、怪しい知識と確かな知識を見分ける方法も学びます。そして、確かな知識を手に入れる技法をさまざまに身につけていきます。そうした方法や技法を「知恵」と呼ぶこともできるでしょう。変化の激しい現代、答えのわからない問題が次々と発生する世界にあって、卒業後、役に立つのは、思いのほか短い時間で古くなってしまう知識そのものよりは、知恵であると思います。新しい環境や変化した条件に置かれると、知識があっても知恵がないと対処ができません。人文学部では、古今の知識を学びつつも、学生ひとりひとりが新たな問いを立てて、調べ考え、自分なりの答えを出す訓練を積みます。他の人がちょっと視点の異なる問いを立てて出した別の答えと自分の出した答えとを突き合わせることで、さらに考えを深めたり、発想を拡げたりする機会にも多く恵まれるでしょう。そうした鍛錬を通じて、答えの用意されていない様々な問題に満ちた世界 ── 皆さんが卒業後に生きて行くのは、まちがいなくそういう世界です ── で揉まれても、自分を失わず、しっかりと対処していくちからが身につく筈です。 
  • 教員

    人文学部

    人文学科社会専攻

    白井 聡

    どのように生かせるかは人それぞれですし、生かせるかどうかも人それぞれです。
    人文学科に限らないことですが、大学での学びは、自分で問いを立て、自分で調べ、自分で考察を加える力をつけるところにその意義があります。つまりは思考能力ということです。この力は、その人の人生の質を決めることになりますから、その意味で限りなく役に立つものです。学ぶ具体的内容がどのような職業生活に生かせるのかということについては、個別的にしか答えられません。
     

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