2020年1月8日(水)に本学前学長であり、国際マンガ研究センター長である竹宮惠子の最終講義として、アセンブリーアワー講演会「【最終講義】扉はひらく いくたびも」が開催されました。
竹宮は2000年にマンガ学科教員に就任、本学のマンガ教育と研究を牽引し、マンガ学部長、学長を歴任。2020年3月をもって定年退職を迎えるにあたり、最後の授業を公開講座といたしました。モデレーターは本学副学長でマンガ学部教員の吉村和真が務めました。
講演会タイトル「扉はひらく いくたびも」は、大ヒット作『風と木の詩』の連載半年ほど前に発表した短編作品のタイトルです。20代に描いたそのストーリーの解説から講演は始まりました。
竹宮は創作世界のキャラクターは確かに存在していて、作家だからと言って蹂躙していい世界ではないと言います。
作中で引用された、フランスの詩人ジャン?コクトーによる詩の一節「シャボン玉の中へは庭は這入れません 周囲(まわり)をくるくる廻っています。」を紹介し、作家はただ創作世界を覗き、それをマンガとして映す存在、ご都合主義でキャラクターの運命を変えるべきではないと続けました。
そして幼少期からマンガを描くようになったきっかけや、初めて上京した頃の話、京都精華大学での時間など、これまでの人生を振り返り、これまで出会った「扉」について語りました。
扉とは「思いがけないものを見せてくれるもの」「考えるきっかけを与えてくれるもの」。またそれは「選択を迫るもの」でもあると竹宮は言います。開けるかどうか、その先の行動にいたるまで様々な選択を扉はもたらします。
困難な扉を開けてしまったときどうするか。“開けたという事実”を静かに受け止めるべき。そうすれば開けたという事実は無くならないと述べました。
そして時には、開けた扉を自らの意思で閉めること。「終わらせます」と静かに宣言すること。閉じたことで初めて自分をえらいなと肯定できる。結果を作ったことに満足して、次の扉に進んでいけると述べました。
「マンガは考えることを私に課した。そのおかげで私は成長することができた。想像の世界の扉はこの瞬間も開いたり閉じたりしています。」という言葉で最終講義は締めくくられました。
講演会第2部の質疑応答では
「教員生活20年で、セイカはどのように変わったか?」との問いに対し、
「若者たちが窮屈そうだなと感じる。何故かは分からないが、もしかしたら自ら窮屈になっているのかもしれない。触れる情報が多く、それが故に先のことを考えすぎて、扉を開けられずにいるのかもしれない。でもその不安は自分で作る幽霊のようなもの。真実は開けてみないと分からない。挑戦する大切さを知ってほしい。それが人生を変えることに繋がるかもしれない。」と、若者へ向けて暖かいメッセージが送られました。
講演会終了後、学生から花束が贈られました。
本講義をもって、本年度のアセンブリーアワー講演会は全て終了しました。来年度の講演内容は決まり次第、お知らせいたします。
本講義をもって、本年度のアセンブリーアワー講演会は全て終了しました。来年度の講演内容は決まり次第、お知らせいたします。
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