マンガ学部カートゥーンコース非常勤講師の塩賀史子による個展「— まぶしさの向こうに —」が開催

何度も足を運ぶ、見慣れているはずの風景。その眺めが、ある時とても美しく、輝いて見えることがあります。風景は、誰もが同じように見ているのではなく、その人が見たいもの、見ようとするものを映し出しているのだと考えます。何の変哲もない見慣れた風景が、美しく輝いて感じられるのは、私の心が、そのまぶしさの向こうに何かを求めているのだと考え、制作を繰り返しています。

 

現在私は住居のすぐそばにある山で主に取材し、何度も足を運び、心が動く場所でスケッチを重ねながら、その体験をもとにアトリエで絵画を制作しています。具体的な場所を再現することが目的ではなく、ごく平凡で見慣れたもののうちに隠されている普遍性と、何気ない一瞬に内包されている永遠の輝きを表現することを目指しています。

死と生、一瞬と永遠、絶望と歓喜???。

光と影の交錯は様々な対立概念を私に想起させます。

森羅万象が明滅しながら、ひとつの大きな調和の中で、苦しくも美しいこの世界を作り上げている、そんな世界観を生み出すことを試みています。
 

2025年8月

塩賀史子